第三章 巡りあう

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 グルーは愛用の短剣を勢いよく引き抜くと、首に当てた。そして勢いよく喉を切り裂こうとした、その時……短剣がグルーの意に反して手を離れた。そして、カターーンと床を転がると、短剣は不自然な格好で廃墟の隅に転がっていた古びた帳面に突き刺さり、止った。  グルーは笑った。  死なせてももらえぬのか。そう可笑しくなりながら、短剣を引き抜こうと帳面に触った。  だが、意外なことに、帳面に短剣は固く刺ささっており、抜けない。    どうした、俺の短剣よ、俺を殺させてくれ……、ずっと一緒だったではないか、お前とは……そう、赤い花の平原で拾ったのだ、この短剣は。それからずっと俺の護り神だったよな。  だったら、俺の最後の願いを聞いてくれてもよかろうよ……。  グルーの意識はそこで途切れた。  静かに廃墟の中に崩れ落ちたグルーの側には、古び朽ちかけた帳面と短剣だけが寄り添うように落ちていた。
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