第三章 巡りあう

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 火が迫る。ミリ、ミリだけでも助けねば…!    俺の大事な妹、ミリ!俺の命と変えても救い出さねば、その歳でこんな運命を辿るのは残酷すぎる。いくら我々が病の者だからといって、そんな運命がこの世で許されるものか……!ミリの寝室まではもうすぐだ。梯子を駆け上がる。焦げ臭い匂いに鼻を押さえながら部屋の扉を開けると……人の形をした火柱が目に入った。 「……ミリ!」  油汗が額をだらだらと伝う。グルーはかっ、と目を見開いた。  見知らぬ部屋の天井が見える。そして目が合った。  ミリ……。ミリではない、だが、どこか面影が似ている。そう思うのは、俺がどうかしているからか……。 「……大丈夫?無理しないで……まだ傷が痛むでしょう。静かにね」  少女の落ちついた声音が、横たわったグルーの耳には優しく響く。少女は布で、グルーの額に流れる汗をそっと拭く。  そしてグルーはびくりとひるんだ。少女が、グルーの膿んだ右目にも躊躇なく触れたからだ。その心中を見透かしたように少女は微笑んだ。 「感染(うつ)る、と、言いたいんでしょう?大丈夫、怖くなんか無いわ」 「なに……?」 「とにかく余計な心配しないことよ。ここに、ガザリア軍は来ないわ」  ……俺の正体をこいつは知っているのか?この少女は何者なのだろう。 それを尋ねようとしたとき、部屋の外から声がした。 「メリエラ…!」 「はい、父さん!今行きます」
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