第一章 赤い花の平原

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 食物は近くの村の者が定期的に、平原の外れに置いていく。それは食べ物はやるから、どうか近づいてくれるな、という村人たちからの物言わぬ伝言であった。  遠い国には疫病の薬があるらしい。だが、こんな世界の外れまでそれは届かなかったから、この世を数百年と恐怖に陥れている疫病は、ここでは完治しないも当然であった。死の病も当然であった。だからグルーはここに来たし、村人たちもグルーを恐れた。その赤い花の平原で、病で死ぬまで暮らせと言われているわけである。グルーはそれもよく理解していたので、ことさらグルーも村人たちに近づこうとはしなかった。  彼らは自分とは違う人間だ、と分かっていた。そして村人たちからすれば、赤い花の平原で暮らすグルーは、人間以下の存在であった。
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