第三章 巡りあう

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 今度はカロが物腰静かに告げる。しばしの沈黙ののち、カロは呟くように言った。 「薬草を絶やしたのは、他でもない、この私と、亡くなった妻だ」 「……なんだと!!」  グルーは状況も忘れて激怒した。思わず体が動かない事を忘れ、隻眼を燃やし、カロに躍りかかる。  だが拳は力無くカロの前で止り、その身に届きすらしない。グルーは自分の力のふがいなさに歯ぎしりし、カロとセヲォンを膿んだ右目で睨み付けるのみであった。 「……気持ちは分かるが、そう怒るでない。やむにやまれぬ事情があったのだ。それにカロの亡くなった妻、メリアはお前と同じ病の者であった」 「なぜ、病の者が、自ら必要な薬草を絶やした?!」 「それは、おいおいカロから聞くが良い。だがその前に、グルーよ、我々もお前に聞きたいことがある」  セヲォンがゆっくりと、大きな窓の側にある机に近づく。そして、そこに置いてあった、なにかを手に取り向き直った。 「グルーよ、この短剣と帳面はどこで手に入れた?」  果たしてセヲォンの手には、グルー愛用の短剣があった。そしてそれが刺さった朽ちかけた帳面も。あの廃墟で見つけた古びた帳面である。
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