第三章 巡りあう

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「それは俺の短剣……」 「グルーよ、質問に答えよ。これはどこで手にしたのだ?」 「……短剣は俺が遠い昔、長く暮らしていた、赤い花の平原で見つけたものだ。帳面はあの廃墟に落ちていたもので、なにも知らん」  セヲォンとカロが身を乗り出してグルーに迫る。 「赤い花の平原とは、ズームグの王都跡のほとりにある、あの呪われた平原か」 「……そのとおりだ。それがどうかしたのか」 「やはりそうか……」 セヲォンとカロは合点したとばかりに頷いた。 「不思議な運命だ……やはりあの二人は時を超え繋がり合っているのだな」 「はい、セヲォンさま……」  グルーはひとり話について行けず、戸惑い、不審げに隻眼を光らせた。  それを見てセヲォンが静かに語り出したのは、遥か昔となった、薬草の発見にまつわる物語であった。
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