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グルーは何が起こったのか分からないままであったが、反射的に身を翻して起き上がると、胸元を探った。
……あった。胸に潜ませていた愛用の短剣を引き抜いた。
「へえ、これは意外だ。こいつ武器を持ってやがる」
「なかなか立派な短剣じゃないか」
そこでグルーはようやく言葉を男たちに発した。
「お前たち何者だ…?この平原には病の者しか入れぬはずなのに…なぜ…?」
「それは俺たちもお前の仲間だからだ」
いつしかグルーは男たちに取り囲まれていた。赤い花の平原の上で。
なんということだ。
その時だった。一団の長らしい男が周りを制すると、グルーに向かって言った。
「お前、俺たちと一緒に行かないか」
「…えっ?!」
思わぬ言葉にグルーは絶句した。
「俺たちはいかにも病の者どもだ。我々は疫病神と罵られて生きている。お前もそうだな。だが、俺はそれを終わらせたい。我々の国を作るのだ」
グルーは意外な展開に思考がついて行けず言葉が出ない。……病の者が、国を作るだと?
「お前も仲間になれ。俺たちの仲間にな。そのほうが、ここでただひとり死を待つよりかは大分良かろう」
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