第一章 赤い花の平原

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 グルーは何が起こったのか分からないままであったが、反射的に身を翻して起き上がると、胸元を探った。  ……あった。胸に潜ませていた愛用の短剣を引き抜いた。 「へえ、これは意外だ。こいつ武器を持ってやがる」 「なかなか立派な短剣じゃないか」 そこでグルーはようやく言葉を男たちに発した。 「お前たち何者だ…?この平原には病の者しか入れぬはずなのに…なぜ…?」 「それは俺たちもお前の仲間だからだ」  いつしかグルーは男たちに取り囲まれていた。赤い花の平原の上で。  なんということだ。  その時だった。一団の長らしい男が周りを制すると、グルーに向かって言った。 「お前、俺たちと一緒に行かないか」 「…えっ?!」  思わぬ言葉にグルーは絶句した。 「俺たちはいかにも病の者どもだ。我々は疫病神と罵られて生きている。お前もそうだな。だが、俺はそれを終わらせたい。我々の国を作るのだ」  グルーは意外な展開に思考がついて行けず言葉が出ない。……病の者が、国を作るだと? 「お前も仲間になれ。俺たちの仲間にな。そのほうが、ここでただひとり死を待つよりかは大分良かろう」
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