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困惑しているグルーに、男はたたみかけるように言う。
「このままここで死を待つ為にお前は産まれてきたのか?ただ世界から疎んじられる為に産まれてきたのか?そうではなかろう」
その一言にグルーは言葉にならぬ衝撃を受けた。自分がこの運命から逃れられるなんて、思っても見なかったことだ。だが、逃れられる……?逃れられるかも知れぬのか……?
思いもしない自分の未来を、この男は自分に示している。グルーはごくりと唾を飲んだ。そして思わぬ声が自分の口から漏れ出たのを聞いた。
「わかった……あんたたちについていくよ…」
「……よし!いいか皆の衆!!これからこの小僧は仲間だ!無碍に扱うなよ!」
……こうしてグルーは慣れ親しんだ赤い花の平原を後にしたのだった。自分の運命が急転し始めたことに戸惑いながら。
だが、気づいてしまったのだ。自分のなかに埋もれていた渇望する思いに。「生きたい!」という心の奥に秘めていた叫びに。
そして、この世に対する深い怒りに。
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