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追記の追記(2022年4月6日)
アラビアータのペンネが復活していた。深夜の空腹に耐えかね、サイゼリアのデジタルメニューを見ていた時のことだった。
もう二度と食べられないと思っていたので、まぁ驚いた。写真を見た瞬間、数年前に友人達とサイゼリアを訪れた時の記憶が蘇った。
同時に、
「これは食わねば」
と謎の使命感に駆られた。今度こそ、ライス付きで食べるのだ、と。
後日、サイゼリアを訪れた。
頼むのはもちろん、ペンネアラビアータとライス。スパゲッティのアラビアータを食べた時と同様、母親が付き添っていた。
正直、オムライスが食べたい気分だったが、いつペンネアラビアータが無くなるとも限らない。結果がどうなろうと、食べずに後悔はしたくなかった。
運ばれてきたペンネアラビアータは、あの日と寸分違わぬ見た目をしていた。
味はどうか? ペンネをフォークで突き刺し、口へ運ぶ。
……そんなに辛くない。記憶の中のペンネはもっと猛烈な辛さを持っていたはずだ。
やはりスパゲッティ同様、ペンネも変わってしまったのか、と落胆した。しかし食べ進めるうちに気づいた。
確かにペンネ自体はそこまで辛くない。
だが一本、また一本とひたすらペンネだけを食べていくと、口の中で辛さが増幅していった。しかもソースが穴に入るので、スパゲッティよりも辛く感じた。それこそ、途中でライスが欲しくなるくらいに。
この数年でかなり辛さに強くなったので、今のペンネアラビアータが当時のペンネアラビアータと同じ代物かは分からない。
しかしあの頃と違わず、辛かった。ライス頼んだおかげで、最後まで美味しく食べきれた。友人との交友は途絶えたままだが、あの日の後悔は数年越しに果たすことができた。
私はきっと今後もペンネアラビアータを見るたび、あの日の楽しかった記憶を思い出すだろう。
そして、今からペンネアラビアータを食べようとしている人を見つけたら、そっと教えるだろう。
「割と辛いんで、一緒にライスかパンも頼んだ方がいいですよ」
と。
(本当の本当に終わり。まさか、続き書くとは思わんかった)
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