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追記(2021年11月13日)
先日、母とランチでサイゼリヤを訪れた際、スパゲッティのアラビアータを見つけた。
大学に入ってすぐに食べたアラビアータはソースが絡みやすい、変な形状のパスタだったので、
「スパゲッティなら、あの辛さが中和されて、いい感じのピリ辛になっているかもしれない」
と期待して、スパゲッティのアラビアータを頼んだ。
しかしいざスパゲッティを食べてみると、いくら食べても全く辛くない。同じようにアラビアータを頼んだ母も、首を傾げていた。
とうとう最後まで辛さに苦しめられることなく、美味しく完食した。
後日調べてみると、サイゼリヤのアラビアータは一度、メニューから消えていたと分かった。その後、従来の変な形のパスタからスパゲッティにリニューアルされ、メニューに戻ってきたそうだ。
もう二度と、私はあの頃に食べた猛烈に辛いアラビアータを食べることも、「次に食べる時は、絶対にライスと一緒に食べるんだ」という決意も、叶いそうもなかった。
だが、不思議と悲しくはない。
初めてアラビアータを食べた時、私は人生の絶頂期だった。大学への期待、かけがえのない友達、楽しかった毎日……それらの鮮やかな思い出が更新されないまま、タイムカプセルのように閉じ込められているというのも、悪くないと思った。
ただもう少し、あの頃に食べたアラビアータと同じくらい辛くあって欲しかった。
(本当に終わり)
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