第8話 僕の初めては

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第8話 僕の初めては

夜、疲れているのになかなか眠れなかった。 レッスンで反応してしまったことが、ショックというか、今後どうしていけばいいのか、モヤモヤと考えだしてしまったのだ。 そもそも僕の初めてもはるか先生だった。 「あれ?タケルくん、また背が伸びたね。私と変わらないんじゃない?」 小6の冬、レッスンが終わった後に先生に話しかけられた。 「ほんと!先生は身長どのくらいですか?」 レッスンに付き添っていた母親が聞く。 「156cmです」 「タケル、先生の横に立ってごらん」 母親に促されて先生の横に歩いていくと、先生の顔が真横に見えた。 ずっと見上げてきた先生の顔が、急に近く感じた。 「やだ~!すっかり大きくなっちゃって。ホント、大きくなるのってあっという間ですね」 先生は嬉しそうに僕に話しかける。 その夜、僕は先生の夢を見た。 僕の真横にある先生の顔。これまで別世界の人と感じていたのに、急に親近感を感じたのかもしれない。 一緒にピアノを弾いて、レッスン室のソファで音楽家の伝記の本を読みながら「ベートーヴェンのお父さんってひどい人よね」なんて話して。 ふと、先生の顔が目の前にあり、視線が重なった瞬間、先生が僕にキスをした。 唇に触れるだけのキス。 「タケルくん、かわいいね」 僕は真っ赤になって、どうしようどうしようと混乱しているうちに、パッと目が覚めた。 お腹の下がベタっとして気持ち悪さを感じた。 体の中心が、まるでソコになったような。 僕の初めての夢精だった。 先生を勝手に汚したような罪悪感と、なんともいえない空虚感が襲ってきた。 「先生…ごめんなさい」 それ以来、先生をネタにしたくなくて、ネットでエロい画像を見て抜くようになった。 でも夢だけは無理で、時折、先生が出てきて僕にキスをしたり、触れてきたり、耳元で囁いてきたりしてくる。 そうして夢精して目が覚めるたびに、先生に謝りながら、どんどん夢の中でも行為はエスカレートしていった。 中学2年くらいになると、クラスメイトが彼女とエッチした話をしだす。僕はそういう輪の中には入れなかったけど、どうしても聞こえてくる話し声で内容が分かってしまい、耳年増になっていく。 それまで一方的に先生にキスされていたはずなのに、クラスメイトの話に触発されたのだろう。その晩は、僕から先生をソファに押し倒し、キスをして腕を触り、手を握った。 胸を触ろうとした所で、目が覚めた。 レッスン前には、エロ本で抜いてから行くようになったのも、この頃だ。 間違っても、先生に手を出したりしてはいけないと、性欲を物理的に消化させていけば大丈夫だろうと。実際、この方法で先生の前で失敗したことはなかったのに。 もう先生以外に気持ちを持っていかないと、ピアノが続けられる気がしなかった。
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