暴食祭司と癒しの歌姫

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 固定概念こそ、人の想像力を酷く劣化させ誤認を真実と書き換えてしまうことを僕はその時、初めて知った。  欲望は人の醜い心であり、人を人ならざるものとするが、もしそれが人外ならその理屈は通らない。欲望のまま生きて、人々を笑顔にしていく彼の姿を見て僕はそう思わざるを得なかった。  彼は知らない。  僕が彼と出会い、どれほど救われたのか。  例え、日誌を読み返さなくても、瞼さえ落とせば僕は彼と初めて出会った時のことを容易に思い出せる。  そう。あれは確か、僕がまだ十六歳の頃だったーーー。
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