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用意周到? 2
「わ、私のこと」
気付いたら、反射的に瞬兄の腕を掴んでいた。
恥ずかしい。怖い。離してほしくないけど、簡単な女だとは思われたくない。
「私のこと、チョロイと思ってるでしょ……」
「そんなことない!」
蚊の泣くような声で言ったら、間髪入れずに私の問いかけごと吹き飛ばすような勢いで否定が返って来た。
「そんなことない。そうじゃない」
瞬兄は言う。
「オレがわざと気を惹こうとしたんだ」
わざと、私の気を?
「紗名ちゃん」
離れて行ったはずの顔がまた近付いて来る。
「誰にでもこんなことするんじゃない。違う。紗名ちゃんだからだ」
どうしよう。やっぱりドキドキする。
これってただの勘違い? 筋肉に目が眩んでる? 一夜限りのってやつ?
恋って、どんな瞬間に落ちるものだったっけ?
再び落とされたキスに、今度は自分からも応える。難しいことは考えなくても良い気がした。
「ん、あむっ」
瞬兄の口付けは忙しない。角度を変えて、深さを変えて、様々に私を知ろうと次から次へと嵐のように激しく降って来る。
脇腹を何度も撫でられるとくすぐったさと甘い官能が波のように押し寄せて、思わず身体を捩った。そうしたらできた服の隙間から侵入されて直接に肌に触れられた。
「んっ!」
「ゆっくりする」
そう囁かれるけど、どこかその動きは性急だ。
ブラをずらされて、長い指が頂きを掠める。触れられたのはその時点が初めてのはずなのに、既に僅かに芯を持ち始めていた。自分がびっくりするくらい興奮していて、いやらしい反応を示していることに自分でぎょっとする。
「あぁ……」
ふくらみを大きく回すように弄られ、時に頂きをくりくりと指で挟まれると堪らなかった。聞いたことないような甘い吐息が漏れてしまう。
「紗名ちゃん、可愛いな」
可愛い、なんていつぶりに言われただろう。お世辞でも嬉しい。誰もそんなことそうそう言ってくれない。
バンザイをさせられて、服を脱がされた。急におかしくなって、少し笑ってしまう。
「何がそんなに楽しい?」
「ひみつ」
やってることはとてつもなくいやらしいはずなのに、小さい頃着替えを手伝ってもらってた時のことを思い出してしまったのだ。
“紗名ちゃん、バンサイして”
って、半そでTシャツを上手く脱げない私に瞬兄はよく言った。
「ひゃん!」
そんなことを悠長に考えていた意識は、けれど敏感になっていた頂きに与えられた生暖かくぬるついた感覚に強引に引き戻された。
「集中して」
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