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用意周到? 4
「紗名ちゃん、気持ち良かったんだな」
頭をよしよしされるけど、ここはよしよしされるとこじゃないと思います。
恥ずかしくて居た堪れなくて、目尻に涙が溜まる。ぐっしょり濡れた下着とズボンが更に私を情けない気持ちにさせた。
「わ、ごめん! ごめん、ペースが速かったか。紗名ちゃん、泣くな」
「だって」
そうは言われても勝手に滲んで来るし、私にだって羞恥心のキャパってものがあるし。
「紗名ちゃん」
宥めるように目尻に口付けられる。それからこめかみ。ほっぺ。額。あちこちに触れるだけのキスが沢山降る。抱き寄せられて、背中をゆったりと撫でられる。
少しだけ気持ちが落ち着くけど、身体は火照ったままだった。そうだ、イッたばかりだから、その優しく撫でる行為すら正直生殺しにされてる気分になる。
「瞬兄」
「ん?」
いつまでも泣きべそかいてる訳にもいかないので、抱き着き返してその胸元でそっと囁いた。
「…………ゆっくりして」
それが再開の合図だった。
瞬兄はもう一度私の身体をソファの背に凭れかけさせて、足に響かないように慎重にズボンもショーツも抜き取ってしまう。すっかり全裸の状態にさせられて、しかもリビングの灯りはついたままだから、何もかもが丸見えなことに気付く。電気、と思ったけれど、頼む前に瞬兄はすーすー冷たい感覚がしていた股に指を這わせ、そしてまたくぷんと指を沈めた。
「あ、はっ、あう」
中指を根元まで挿れ込まれると、真ん中辺りまで届いてしまっている。お腹側をくにくに刺激されれば、意識が快楽に霞んでくる。空いている反対の手で器用に瞬兄が前を寛げて行くその様子をぼんやり眺めていた。
あぁ、早くしてほしいな。身体が疼いて仕方がない。とびきり甘く激しく優しくしてほしい。
そう思ったのに、
「待って」
隆起したアレで押し上げられた下着を見た瞬間、急に理性が戻って来た。
いやでも、よく戻って来た、理性。
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