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二章 カグラ×アルト 中編
カグ「アルト!書類終わらせたぞ!!」
ドアをノックもせずに開き、入ってきた男はカグラだった。
嫌いな書類が終わったのだろう。生き生きとした表情をしている。
「…総統、仮にも貴方はこの国のトップなんですよ。
部下の手本となるような行動をしてください。
ノックもせずに入るなんて……」
カグ「そんなことはどうでもいい。
今優先すべきものはお前とのデートだ。早く準備しろ。」
「全く……分かりましたから部屋から出てってください。着替えが出来ない。」
カグ「急げよ。部屋で待ってる。」
「はいはい。」
元々俺は彼のように書類を溜め込むタイプではなく、急ぎのものもない。
机に出された紙束を鍵つきの引き出しに入れ、鍵をかける。
思えば、よくあのカグラがお揃いのアクセサリを許可したと思う。
彼は、邪魔だからと着飾るタイプではないのだが、心変わりをしたのだろうか。
軍服から私服に着替え、彼の部屋まで急ぐ。
長らく待てるような性格ではないと、長く共にした時間の彼の行動で理解している。
ヘン「あれ、アルト出掛けんの?」
「ヘンリーか。カグラと外に行ってくる。
俺らが空けてる間、ここのこと宜しく頼むよ。」
ヘン「…わかってるよー。もう、仕事逃げたのバレてるんでしょ?」
「ウィルソンの部屋がある方向から来たら気づくに決まっているだろ?
あまり部下に迷惑掛けるなよ。」
ヘン「はーい。」
学生の頃から、ヘンリーは後回し癖が抜けない。
責任感があり、賢いこともあり第二軍隊隊長を務めているが、よく仕事を抜け出しては恋人であるウィルソンの部屋に遊びに行くのだ。
…ウィルソン自体も、恋人が来てくれるのだから悪い気はせず、甘やかしているようなのだ。
「はぁ…全く………」
これで書類や業務が滞るなら留めがねはするが、毎回提出期限は守っているのだから不思議なものだ。
恐らく、というか、かなりの確率でウィルソンが手を貸しているのだろう。
カグ「…アルト。」
「ん?…あぁ、もう着いてたのか。
ごめん、考え事していて気づかなかった。」
不意に声をかけられて視線を向けると、自分の部屋の前で腕を組んで立っているカグラが、俺を見下ろしていた。
…何で同じものを食べている筈なのに、こんなに身長に差があるんだろうな。
カグラは2メートル近い身長をしているため、この軍のなかで一番威圧感がある。
この軍の身長の平均は175辺りだから、俺とは20センチ差位だろうか。
20センチ違うだけで、俺にはない威圧感があるというのは、流石総統、というべきなのだろう。
カグ「アルト。お前の考え事は終わりがないだろう?
準備出来たのなら行くぞ。今は考え事よりも俺に思考を向けろ。」
「はいはい、分かったよ。
というか、戦争するって言ったのはカグラなのに、今このタイミングで出掛けに行くのか?」
カグ「恐らく始まるのは二ヶ月後だろうが、今行かないと時間が無くなるだろう?」
「それもそうだな。
立ち話もなんだし、早速出掛けようか。」
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