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「先生? 先生の携帯って位置情報の設定って、しています?」
お寿司屋を出たあたりからか、バックミラーに映る幾つかの車の内、どうやら或る一台がクーペを尾行していると疑った片桐は、山本の携帯と関連付けしようとしていた。
「私は山登りが趣味なんでね、一緒に登る仲間同士で、GPS登録はしているよ、そのアプリを使うと山道で迷った場合もお互いの居場所が分かるようになっているんだ、便利だろ・・君もどうかね?」
片桐は、次の交差点に差し掛かると、急にハンドルを左に切った。
「片桐君、道が違わないか? もしかして近道でも見つけたのかね?」
「先生、まさか芹沢って男、登山仲間じゃありませんよね!」
「芹沢って、週刊エルベの?」
「そうです、その芹沢だと思うんですが、ずっとこの車の後をつけて来てるみたいなんです」
「しかし、どうして分かったんだろう・・君の話によればテレビ局に居たことも知っているようだし、どうしてなんだろ?・・あっ、危ない! 片桐君、もう少し優しく運転出来んのかね⁉」
「先生、あなたは幸せな方です! あなたの天敵でもある芹沢に尾行されているっていうのに、まるで他人ごとのように落ち着き払っている!」
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