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「早く変われ! 早く矢印になれ!」
信号を待つ間の数秒と言うのは妙に長く感じるものだ。
間もなく矢印で示す右折信号に変わった!そして対向車も止まった。
「どうせ、私の車だから、屋根ぐらい飛んだって・・先生は気になさらずに」
山本の忠告も空しくクーペは高架下に向かって右折をし、突入した。
片桐が何故クーペを選んで乗っているのか? また、お尻がこすれると四の五を言いながら、何故こんな車高の低い車に自分が乗ってしまったのか・・この瞬間に、山本のこれらのストレスは、すっ飛んでしまったようだ。
高さ制限が2mに満たない高架下をかろうじて通過することが出来たのも、車高の低いクーペだったからだ。
「片桐君、この車ってボロイけど憎いよね!」
「なにがですか?」
「この外車のことだよ」
「な~んだ、私のことかと思った」
どうやら片桐の機転のお陰で、芹沢を撒くことが出来たようだ。
お陰で、この日の山本は桑田京子のマンションまで無事送り届けてもらうことが出来たのである。
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