京子のマンション

6/7
前へ
/77ページ
次へ
「よかった! しっかりして下さいよ先生・・ 私はバツイチだし、今更失うものなんて何も無いけど、先生が困るんじゃないですか⁉」    もしかして山本の中では、片桐が車中で携帯の電源オフの指示をした意味が、もう一つ分かっていなかったみたいだ。 「そんなつれないこと言わないでくれよ、君だってテレビに出演している立場上、スキャンダルなんて、百害あって一利なしだと思うよ?」 「そりゃそうかも?・・雑誌社のインタビューなんて、私が話したことを好き勝手に切り刻んだ挙句、全く違う編集で掲載されていたことが有ったわ・・この業界ではこんなことが普通なんですって・・」 「へぇ~業界の事、よく知ってるね?」 「だって、前の旦那ってその業界の人みたいだったの・・」 「だったのって? どこの編集社って?」 「・・そういえば・・」 「どこ?・・なんて出版社なの?」 「そういえば、彼って自分の勤めている雑誌社の社名も教えてくれてなかったわ・・」 「もういい京子、以前の旦那さんのことを思い出させてしまって、すまなかった」 「・・別に、今は何とも思っていませんので!・・そう言えばあの人って自分の事はあまり話したがらなかったわね・・」
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加