5人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ
山本がこのテレビ局に初めてやって来たのは約2年前のことである。
当初はインフルエンザの感染防止についてのコメントが欲しいと言うことで、呼ばれたのである。
その時のインタビュアーが桑田京子アナだったと言うことで、山本と二人の間は、番組の回を重ねるごとに、当然のように距離が縮まっていったのである。
しかし山本には妻が居る・・ともすればこのような間柄を不倫と決めつけたがるのは世間ではあるが、そのソースを面白おかしく提供するのもマスメディアである。
山本は京子が風邪を患っていると知って心配になった。バツイチの一人住まいでは食事の支度もままならないだろうに。
局が手配してくれた車が到着した気配などは無い、それなのに山本は社員通用口を出るが早いか、携帯を発信していた。
山本「もしもし私だ・・京子、風邪引いたんだって? 大丈夫か?・・」
そうか、山本は局のスタッフに京子との通話を訊かれたくなかったんだ、だからわざわざ裏玄関に出て電話をしているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!