5人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ
山本先生が空気ですか？・・でも人間が一日に摂取する物質のなかで、食料が7％とするなら、水は8％の比率だと言われている。
さらに、残りの８５％はなんと空気だって・・ご存知でしたか⁉ 空気みたいだって言われた先生って、きっと奥さんにとっては貴重な存在に違いない。
山本が再び社員通用口から局の通路に戻ろうとしたとき、一台の車が近づいてきた。
いつも送迎に利用しているワンボックスタイプではなく、結構年季が入ったクーペだ。
クーペから目を外した山本は局に入ろうと、通用口のドアの取っ手に手を掛けた。
その時だった、クーペから軽いクラクションの音が聞こえた。
山本はドアから手を放すわけでもなく、腰をかがめクーペの運転席を覗き込んだ。
片桐「先生！ ・・山本先生、私です片桐です・・」
クーペのウインドが閉められた状態では、車内の片桐が発する、賢明な声は山本には聞こえなかった。
でも、山本にはクーペの車内から、自分に向かって誰かが叫んでいる様子は伺えたようである。
やがて山本はそのクーペに向かって歩き始めた。
するとそれを察したのかクーペのドライバーは慌てて車外に飛び出した。
更には、これ見よがしに車の屋根越しに高く飛び跳ねて見せた。
最初のコメントを投稿しよう！