しがない時計の話

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しがない時計の話

 私はしがない目覚まし時計です。いわゆるアナログな時計でして、長針と短針を使って時間を知らせる古典的な時計でございます。見た目もお恥ずかしいほど典型的な、頭に二つベルがついている形です。デジタル時計のように日付や温度を表示したり、電波時計のように標準電波を受信して時刻を自動修整する機能もございません。ただ時間を指し示すことと、目安針で指定された時刻にジリジリとベルを鳴らし持ち主を起こすことしかできない、しがない存在でございます。  おっと、私の持ち主の起床時間まであと5分になりました。目覚まし時計である私の仕事の時間です。一旦失礼致しますね。
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