夏の日の忘れ物

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 5歳前後だろう自分が一緒に遊んだ女の子。  同い年くらいの笑顔がとびきり可愛い子で、それで名前が。 「キョンちゃんだ!!」  ふと頭に落ちてきた名前。  口に出したら、それは確かに夢ではなく現実にあったはずのことだと確信した。  キョンちゃんと過ごした季節の幾つかがパズルのピースのようにちょっとずつ思い出して。  私、どうして随分長いことキョンちゃんのこと忘れてたんだろう?  だってその記憶が5、6歳頃のものだとしたら、既にあれから10年ほど経ってるもん。  ずっとキョンちゃんが遊びに来るのを待ってた気がする。  今日は来るかな?今週は?今月は?来月は?  だけどあの夏の日からキョンちゃんが私のとこに遊びにくることは無かった。  待って、待って、待ちくたびれて。  だから私もどんどんキョンちゃんが遊びにこないことに慣れて。  それで、忘れてしまってたんだ。
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