友人から恋人へ

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テーブルに食後のデザートとコーヒーが運ばれて来た 「仁科さんにとって高野君はどんな存在なの?」 「彼は幼馴染みであり何でも相談できる頼もしい友人です」 「それ以上の気持ちは無いの?」 「それ以上というと恋人とかそういう対象ということでしたら無いです」 「そっかあ、やはり高野君の片思いってことなんだね」 「え!片思い?彼が私にですか?」 私は棚橋さんが一体何の冗談を言っているのかと目を瞬かせる すると棚橋さんは「冗談じゃないんだよ」と私を制して話し始めた 「君は彼をそんな目で見ていないのかもしれないけれど  高野君はずっと君のことが好きだったんだよ  高野君はあの通り、誠実でどんな仕事もきちんとこなす優秀な男だ  社内の評判も良いし、イケメンだからね女子社員にも人気がある  私の直属の部下ということでよく飲みに連れて行くんだが  なぜか決まった相手が居ないというんで  おせっかいながらも先日、縁談を世話しようと思って  妻の友人の娘で秘書をしているお嬢さんを勧めたんだよ  でも、すぐ断られてね  聞いたら意中の女性が居るっていうんで驚いたよ  誰だと追及したら君の名を言ってね  幼馴染みの可愛い子で、ずっと小さい頃から好きだったって  でも、相手の子は全然自分を恋愛の対象に見てくれないって嘆いてた  酔っ払っていたからだと思うが  それから1時間、君への思いをこんこんと聞かされたよ」 棚橋さんの言っている内容が日頃の聡からは全く想像できず 私には今ひとつピンと来ない 聡が私を好き?しかも小さい頃からとか… そんな素振りなんて一度も見せなかったし そうよ、聡は中学でトモミちゃん?って可愛い子と付き合っていたよね これも仲良しの由美ちゃんからの受け売りだけど どう考えても聡が私を好きだったなんて信じられなかった
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