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友人から恋人へ
West New York ハドソン川沿いのコンドミニアムの16階
寝室の窓から見えるマンハッタンビューは
夜景好きの私にとって一枚の絵の様で何時間見ていても飽きさせない
ニューヨークにいるのだと実感させてくれる景色を見ながら
私はゆっくりと眠りに落ちていった。
「ちょっと、聡っ!私出るからね」
セミダブルのベッドで布団にくるまり寝ている聡の体を私は強く揺さ振る
これで起きなかったらもう放っておこうと思っていた
「ん…んんっ」
返事ともうめき声ともつかない声を漏らし顔はまだ枕に埋もれたまま
聡の寝起きはいつもこんな感じだ
「ねえ、起きた?おはよー
そう言えば聡、最近あの時計してないけどどうした?」
いつも寝る時にベッド横のチェストに置いてある
私がプレゼントした時計が最近見当たらないのだ
「んん..んっ?!!あ、あれなら大事にしまってある」
「本当に?あれ高いんだから無くしたら怒るわよ」
私の言葉で一気に目覚めた聡はベッドから飛び起きた
それでもまだボーッとしている聡に軽くキスをして、
私はバッグとコートを片手に部屋を出る
「じゃあ、行ってきまーす」
玄関にはいつものRIMOWAのスーツケース
それを持ち、ゴトゴトと音を立てドアを開けようとした時
「ストップ!安珠香、なんで君はいつもそうせっかちなんだよ
暫く会えないんだから一言で出て行くなよ」
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