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「…こんなに…持ってきてくれたの…?」
テンションをあげてこんなものばかりを大まじめに持ってきた俺に対し、おとなしい煌野を見てなんだか恥ずかしくなった。
「ま、まあ煌野、何が好きかわかんないからさ…試そう、全部!」
「…ありがとう…」
煌野は前のときよりもさらに少しだけ笑ったような気がした。
そのあと煌野は飽きた様子も見せず、また夕方まで俺に付き合ってくれた。
煌野はたまになんだか目がキラキラ輝いている気がして、喜んでくれてるのかもしれないと思い嬉しくなった。
「けっこう遊んだこと無いんだな。ゲームはまた今度。…直に触るのが怖いなら、ゴム手袋を使うとか…?」
機械は怖いと言った煌野に、ゲームはハードルが高かったらしい。
「…どうして…どうして私にそんなにしてくれるの…?」
そう俺に尋ねた煌野は、なんだかとても申し訳なさそうに見える。
「え…」
なんでだろうと考えてみたけど、やっぱり答えは一つだった。
「煌野としゃべりたかったし、遊びたかったからだよ。…やっぱ、慣れなれしすぎた…?」
「ううん。…私、つまんないでしょう…?」
「なんで?これなら煌野が喜んでくれるかなぁとか、考えるのは俺、楽しいし…。煌野こそ、つまんなかったなら…」
煌野はすぐに首を振った。
「俺が煌野に嫌なことをしたら、すぐに言って。そうしたら止める。それまで良かったら付き合ってよ」
「…ありがとう…布施くんも、私が嫌になったら、止めていいよ…仕方ないの…。でも私は…布施くんといるの、楽しい…」
俺はその言葉が、純粋に嬉しかった。
煌野がずっと気になっていたから、話がしたいと思っていたから…。
「また今度は、どっか行くか!…どう…?」
煌野はまた頷いてくれた。
最近煌野は学校でも自分からこっそり、俺に話しかけてくれるようになった。
「ねえ…布施くん…」「…おはよう…」「…今日は…何を見せてくれる…?」
俺は嬉しくても他のやつには内緒にするため、俺もこっそりしゃべった。
帰りも、先に出た煌野のあとを周りにバレないように追いかけると、人が少ない道でいつも待っていてくれるようになった。
「今日も近く来る?宿題と課題は休み時間にけっこう終わらせてきた!まぁ、最後の方適当になったけど…」
「行く…」
「着替えたらジュース買ってくよ!家は近いんだっけ?じゃ、いつもの公園で!」
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