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「ずっと…一人でいればよかった…欲張ったりなんかしたから、私は“バチ”が当たったの…。布施くんにこんなに楽しくおしゃべりしてもらえて、嬉しかったから…」
「…なんで?いいじゃん、罰なんてないよ!それに俺、煌野のこと忘れたりしない…!どこにいたって見つけるよ!約束するから…!!」
俺はよく分からないながらも煌野がこんなに悲しそうなのを見て、励ましてあげたくてそう言った。
「布施くん…」
煌野は、あっ、と何かに気付き、急いで体を離した。
「熱かったでしょ!?大丈夫!?」
なぜか相当焦っている。
「え?…煌野は泣いてたんだから、体が熱いのは当然だよ。その…生きてるんだからさ」
「…。」
「帰りたくないならいいよ、今日はうちに来る?家族には話しておくし、妹がいるから寝るときなんとかすれば部屋貸せるし…」
煌野は涙を拭いて首を振った。
「…ありがとう…でも…あ…」
煌野が空を見上げたので俺もつられて見てみた。
空は暗くなり、星がもう見え始めている。
「…今日も、ありがとう…布施くんなら、見つけてくれるかな…私を…」
煌野がそうつぶやいたのを、空を見ている視界の外で俺は聞く。
すぐに気付いたけれど、そばにいたはずの煌野はもういなかった。
次の日も、いつもと同じようにこっそりと煌野に話し掛ける。
「また放課後に…」
放課後、いつもの道で待っていた煌野に言った。
「昨日はあの後平気だった?あのさ、今度別の公園に行かない?」
「…別の…?」
「ちょっと電車乗るけどさ、親水公園。平日は人少ないだろうから、テスト休みに行ってみたいんだ。どう?」
「行ってみたい…水は平気…」
約束当日。
もともと美人目な煌野が、清楚な格好をしていたから俺と釣り合うかが不安になった。
「え、えっと、あ、じゃあ行こうか…」
「うん…」
俺だけがかなりぎこちない。
果たして恋人同士みたいな感じに見えているのか…
手を繋ぐこともなく、話をしながら電車を乗り継いで公園に向かう。
「わあ…こんな電車、初めて…」
「ね!変わった形だな!高いところを通ってるから、景色がよく見える!」
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