きらめきテレスコープ

8/9
前へ
/9ページ
次へ
「消えたくない…。布施くんと離れたくないよ…行きたくないよ…でもこのままじゃ私、消えちゃう…」 「泣くなよ、煌野…泣かないで…」  自分も悲しくなっていくのを感じながら、俺は煌野を励まそうとした。 「…反射の『光』は私の存在する意思…。役目を放棄した私は、このまま布施くんの前だけじゃなくて、存在まで消えちゃう…。布施くん…大好きな布施くんに忘れられたくないよ…」  煌野の体は熱くなり、少しずつ光を帯びて見えた。 「俺も好きだよ、煌野…!」 「私の声、聞こえなくても…一緒にいられなくても…好きでいてくれる…?」  その言葉に、俺は精一杯の気持ちを込めて答えた。 「当たり前だよ…!!嫌いになったりしない!ずっと好きだ!!約束だよ、忘れない、煌野を見つけるよ!!」 「ありが…と……また…いつか……」  瞬きの間に、煌野は俺の目の前から消えた。  ハッと空を見上げると、夜空には星が見え始めていた。 「煌野…」 〜〜〜 一人ぼっちは嫌だった。  役目を放棄したら解放されると思った。目立ちたく無かった私の小さな光なら、いてもいなくても同じ。  みんながうらやましくて、私も学校に通った。  でもみんなと違う私は、激しく体を動かせば周りを燃やすほどの熱を持つ。  火の近くにいれば爆発してしまうのがわかって、孤立するしかなかった。  こんなの、役目を果たしている時とまるで同じ。もう消えてしまいたかった。  もっと目立たないようにして、役目からも学校からも…  でもあなたは私と一緒にいてくれた。話をたくさん聞かせてくれた。仲良くしてくれた。  私には無かった、小さい頃の話、家族の話、友達の話…  おもちゃもたくさん貸してくれた。  触れないと言ったゲームも、ゴム手袋を持ってきて少しの時間だけ。  オセロもヨーヨーもトランプも変身するロボットも…  でも無理だった。  体が辛くて、眠くなって…。夜も光らずに眠っていたけれど、体が溶けそうになる夢を何度も見た。  もう布施くんのそばにはいられない。  このままだと私の存在自体がなくなってしまう。そうしたら布施くんにも忘れられて…  最後にこんなキレイなところに来られて良かった。  布施くんは、何気ないと言っていた。でも私にとっては貴重な経験で大切な思い出…  優しい布施くんが好き…  いつかまた、許されるなら一緒に… 〜〜〜
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加