ギフト

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 商談でグランドハイアットを訪れると、芳しい香りが鼻を翳めた。  そういえば1階で香水を売っていたな……  時間に余裕はある筈だが、念のため時計を確認する。  たまに覗いてみるのも悪くない。    店内にはフラスコが逆さに置かれた酷く印象的なボトルが整然と並んでいた。  感嘆する芳之の無邪気な声が脳内で響いた。  店員にイメージを伝え候補を見繕って貰い、レザーのようなサフランが印象的な香りと僅かに果物を連想させる桂花茶に近い香りの2本を選ぶ。 「……後で秘書が取りに来るから、こちらの方の香水を包装しておいて貰えないかな」  財布を仕舞いながらそう頼むと、店を後にした。  さて、芳之はこれを気に入るだろうか?  商談を終え次の仕事へ向かう移動の車内で隣に並んだ香水を見やり、すぐにその考えを打ち消す。  気に入らなければ一緒に買いに行けばいい。  あのディスプレイを見た時の反応を想像すると、むしろその方がいいかもしれない。  思わず笑みが漏れた。
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