大波乱の教室

授業が終わるまで、あと5分

授業が終わるまであと5分。それは、1年5組の教室の生徒全員の期待の眼差しが、黒板の真上にあるアナログの壁掛け時計に向けられる時間。俺もそのうちのひとりだ。

夏の暑い中学校にて。クーラーにより教室は快適で涼しいと思われがちだが、それにはちょっと偏りがある。あまりクーラーが当たらずなかなか暑い俺の席は、授業中ずっと席についているのは苦痛でしかなかった。

火照った身体で机に頬杖をつき、貧乏揺すりをしながら食い入るように時計を見つめる。あと5分。あと5分の辛抱だ。今は4時間目だから、あと5分頑張ればお母さん手作りの美味しいお弁当が食べられる。今日のメニューは何かな、お気に入りの卵焼きが入っていたらいいな。数学の授業なんてそっちのけで、俺は呑気に今日のお弁当を想像していた。

…というのに、大波乱の5分間が始まったんだ！