12人が本棚に入れています
本棚に追加
私は迷わずお願いをした。今すぐ断ち切って欲しいと懇願した。すると霊媒師は、辺りを見渡すと、
「一人で来ましたか?」と私に尋ねた。
私は家を出てからここまで、全て一人で来た事を伝えると、女性の霊媒師は少し厳しい顔付きになって言った。
「今日起きてから、ここに来るまで、お婆様は出て来ましたか?」
今日は家を出る時に、玄関の照明に出た事、一本道の途中で飲み物を飲もうと思って手に取ったペットボトルに出たことを伝えた。
「分かりました。」と言って霊媒師は除霊の準備を始めた。
私は小さな小屋に案内され、目を瞑る様に言われた。
「長くなるが、決して目は開けない様に。」
霊媒師に言われるまま、私は目を閉じた。そして、霊媒師はお経を唱え始めた。
1時間位過ぎた頃だろうか。不意に霊媒師はお経を止めると、そのまま待つ様に、と私に告げると足音を残して姿を消した。
それまでは何事も無かった空間に、一人取り残されて目を閉じている。耳を澄ますと心臓の音だけが聞こえて来る。
……何か、気配がする。目を閉じていても感じる。目線の様な、殺気の様な。足音も微かに聞こえる気がする。
これが幻覚の正体か……。悲しみではなく、恐怖心から来る幻覚。私は恐れていたのだろう。危険を感じていたのかもしれない。
すると……。
「ばぁばだよ、ばぁ」
お婆ちゃんが姿を現した。目を閉じて居たものの、その声は確かに私の側にいた。
「ばぁばだよ、ばぁ」
最初のコメントを投稿しよう!