ばぁばの、ばあ

9/18
前へ
/18ページ
次へ
 ある夏の夜、私は細い一本道を歩いていた。人里離れた所から見る星空は美しく、いつもより多くの星が明るく見える。  暗い夜道を振り返ると、遠くには小さなお寺が見えた。  これから待ち受ける運命のせいか。私は夜の暗い一本道を、ゆっくりと歩いていた。  私を心配した母親は、友人に有名な霊媒師が居ると紹介してくれた。とっても良い人だから、大丈夫と言ってくれた。  霊媒師は綺麗な女性だった。そして、言われた通り見るからに優しそうな人だったので、私は安心した。  遠くに見える小さなお寺で、さっきまで除霊は続いていて、今はその帰り道だ。  お寺を訪れた私は、始めに事の詳細を説明した後、今となっては形見の様になった、お婆ちゃんがくれた白いカンザシを見せた。  こういう時は、何か思い出が詰まった物を見せると良いと、何かで読んだからだ。  それを見て霊媒師は言った。 「悪い霊では無いです。しかし、未練が見えます。それを断ち切らないと、終わらないでしょう」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加