二の怪

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二の怪

さあ 二の怪です 次に紹介しますのは、私のオリジナル作品 『あの世行き、水上列車』 ある条件を満たすと現れるという、水の上にある駅 「現世駅」 名前の通り、この世である。 行先は一つ 「黄泉駅」 こちらも名前の通り、あの世である。 そう。この駅 そして、この駅を通る列車はあの世への片道鉄道である。 この駅が現れる条件は、人が「死にたい」と思った時、そして、死んだときである。 そして、今この話を語っているこの私。 「現世駅のたった一人の駅長」である。名前はない。 ほら、話してるうちにお客さんが二人ほどいらっしゃいましたよ。 一人目のお客さんは… おばあさんですか。 「こんにちは、おばあさん。この駅の駅長です。多分ですが、あなたは死んでここに来た ですよね?」 「はい。病院のベットの上で、子供や孫に見守られながら…」 「そうでしたか。長い人生、お疲れ様でした」 「はい。ここは景色がきれいですね」 「ええ。ここは水の上に立ってますからね。塩湖みたいに反射するんですよ。しばらく列車をお待ちください」 そして、もう一人…  ああ 来ましたよ。 「おい!ここはどこなんだ!!」 たまに来るんですよね。自殺もしたいとも思わず、死んでもいない。黄昏時にたまたま迷い込んでくる人。 「ここは現世駅です。黄泉駅までの片道の電車が通る駅です」 「はぁ!?意味わかんねぇこと言ってないで、ここから出せや」 「それは無理です。誠に申し訳ないのですが、迷い込んでしまえば最後。あとはあの世に行くだけとなっています」 「ふざけんじゃねぇよ。俺は帰るぞ!」 あーあー 改札抜けてもこっち帰ってくるだけなのに…  あ、ほらぁ 「おい!どうなってんだ!!」 「だから言ったじゃないですか。ここは迷い込んでしまえば最後 って。なので電車をお待ちください」 「ふざけんじゃねぇ!!」 そうこうしてるうちに列車が来ましたね。こーゆーのはさっさと乗せるのが得策ですよ。 「お客さん、あまり暴れられるとこっちも困るんでね…おとなしく乗ってくださいな」 「嫌だね!!俺はここに残るぞ!!」 椅子にドン座っちゃいましたよこの人…まあ「列車」が連れて行ってくれるのでね。 私はただ見とくだけでいいのです。 「お、おい!!離せ!!はなせぇぇぇぇぇ!!!!」 はい、乗車完了。おばあさん困ってることぐらい気付けばいいのに。 「名無し!! お疲れさん!!」 あの人はこの列車の運転手さんです。あの人も名無しですけどね。 列車も行った事だし、お開きにしましょうか。 それでは皆さん。条件が整った時に『あの世行き 水上列車』をご利用ください。 お待ちしています…
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