シャープペンシルとアイスクリーム

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塾に一日中いると、発見もある。 午前中やお昼頃は、小学生が多い。元気いっぱいで、明るく楽しげな雰囲気だ。暗くなると帰り道が危険なため、明るい時間帯に集中している。 一転して、夕方や夜。中学生と高校生が多い。面白いことに、どこかディープな雰囲気が出てくる。 「センセー、彼女と遊ばないんスか?夏祭りとか、海とか」 「いやいや、大学生の夏休みは長いんだよ。嬉しいことに」 「先生の彼女さんの写真、見てみたいです」 「原さんも、遠慮なくなってきたねー。桐山(きりやま)君に似てきたんじゃない?」 「ははは、原もおれ(がわ)だってよ」 桐山は笑いながら、クルクルとシャーペン回しをしている。 「やだなあ、桐山側かあ」 ディープというよりも、純粋さと品が無い。そして、わたしも人のこと言えない。 桐山は、銀のフレームのメガネをかけていて、黙っていればインテリに見える。しかし言動は非常に軽い。見た目と中身の差が激しすぎて、もはや奇跡的だ。学校は違うものの、わたしと桐山は同じ中3受験生ということで、まとめて扱われることが多い。 今は、数学の授業中。数学の先生は、バイト講師の遠井先生(20歳)だ。わりと歳が近いため、話しやすい。 話しやすい先生だと、質問も気軽にできる。しかし、雑談も気軽にできてしまう。 数学の授業の合間にちょこっとする、わたしと桐山と先生との雑談。この時間が、結構好きだったりする。 「おーい、3番ブース。やりなさいー」 塾長から注意されてしまい、3人ですいませーんと声を揃えた。
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