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「そろそろ浮上するか」
と彼から呼びかけられ、
「母船に連絡しておくわね」
と答えると、私は母船への通信を完全に切断し、いくつかのパスワードを打ち込んだ。
これでよし。
「連絡完了。あとは待つだけね」
今打ち込んだのは、試験運用時のパスワード。実践では本来絶対に使わないものだ。
すなわち、艇内の空気を外へ逃がすための、パスワード。
私は後ろから彼に近づき、後ろから抱きしめた。
「なんだよ。仕事中だぞ?」
「いいじゃない。誰も見ていないんだし」
知っているのよ。
新しい女の子のことも、この調査が終わったら私と別れようとしていることも。
でも、もう何も心配はない。
この潜水艇が地上に戻るころ、私たちは二人仲良く天国にいることだろう。
あと5分。
この艇の空気が完全に抜けるまでそれくらいだ。
それだけ待てば、あなたは永遠に私のものになる。
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