0人が本棚に入れています
本棚に追加
夏に溶ける
恋人と付き合い始めてはじめての夏を迎えた。ふたりで話合って休みを合わせて、近場ではあるけれども一緒に旅行に出かけた。
温泉街をゆっくりと観光して、ホテルにチェックインしてからすぐに温泉に浸かって、それからふたりでおしゃべりをしている間に夕食の時間になった。
海の幸が満載な豪華な料理を食べながら、恋人と昔は夏休みをどう過ごしていたのかという話をした。
恋人は、楽しかった思い出をいっぱい話してくれるのに、俺はなかなか話せなかった。
なんでだろう、楽しかったひと夏の思い出は沢山あるはずなのに、頭の中から溶けて流れ出してしまう。きっと、恋人とのひとときが楽しいせいだろう。
それを考えると、なんとなくぞっとした。
最初のコメントを投稿しよう!