いたみ

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 そうだ、突き放し続ければ、きっと彼女は諦める。名案ではないか。あるかどうかもわからないあ平安の地を求めながら、彼女を危険に晒し続けるよりはずっとましだ。  名案だと、思っているのに。 「では、お言葉に甘えて」  気づけば、マノンの手を取っていた。あたたかく、やわらかく、力をこめれば潰れてしまいそうな手を、そっと、握り締める。  私は馬鹿なのだろうか。  馬鹿、なのだろうな。  あなたの悲しむ顔を見たくない、だなんて、この場だけの思いに流されてしまう私を、馬鹿という言葉以外の何で表せようか。  そんな私の手を、マノンは強く引く。もちろん、彼女に私の体を持ち上げるほどの力はあろうはずもなかったが、立ち上がるきっかけにはなった。一度立ち上がってしまえば、多少の失血感はあるが宿まで戻るには問題ないはずだ。 「ありがとうございます。……重かったでしょう?」  元々体は人より大きいし、今も祝福という名の改造を続ける体は質量を増すばかりで、しかも絡繰仕掛けの杭打ち機まで背負っているのだ。重くないはずがない。
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