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聖血が回ったのだろう、全身から青白い炎を上げて動きを止めた標的に、今度こそ深く踏み込む。
「その肉体を、あるべき場所へ返していただきます」
そして、
「神の御許へ」
浄化の杭を、打ち込む。
もはや、上がる声はなかった。胸元に大穴を開けた標的は、膝を折り、その場にくずおれる。次の瞬間、青白い炎が一際強く輝いたかと思うと、歪んだ輪郭もすっかり消えうせ、残された黒々とした灰が、音もなく風にさらわれていった。
私は、胸元で印を切る。肉体も、魂も、神の御許で浄化されることを祈って。
祈る。そうだ、私には、祈ることくらいしか、できない。
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