君の好きな__

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部屋は暗くした。 どうしてかなんて聞かれたら上手く答えられないが、きっと情報を一切遮断したいからだろう。 新月なのだろうか、曇りなのだろうか、カーテンが風になびいても光は入らず真っ暗だ。 星が見えるか確認したらいいはずなのだが、僕がいるこの場からは空が見えない。 動こうなんて気もサラサラない。 まぁ、新月の方がどこか神秘的だ。 見ていない自分の中では新月だから真っ暗なのだと信じておくことにしよう。 夏でもないから蝉の声は聞こえないし 秋でもないから鈴虫の声も聞こえない 静かすぎる為か、部屋を暗くしているからか異空間にでも居るような不思議な感覚を覚えた。 しかし、現実は夢を見させてくれないらしい。 じわじわと目が慣れてきてうっすらと部屋が見えてきてしまった。 もっとゆっくりするつもりだったのだが君を待たせるのはどこか忍びないような気さえしてきた。 あぁ。お酒のひとつでも用意したらよかった。 君と最後の晩餐なんてきっと素敵だ。
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