私を傷付けた、彼。

7/9
前へ
/9ページ
次へ
 彼と私は、対等な関係ではなかった。  私は、彼の言いなり。彼の(しもべ)。  それでいい。それがよかった。  私は、彼が好きだった。彼の生き方が、彼の全てが、大好きだった。    だから私は、彼の全てを受け入れた。  人は私を、馬鹿だと言った。いつか、命を落とすぞと言った。  彼の毒牙(どくが)にかかって死ねるのなら、本望だと思った。  それで構わない。彼が居てくれる。それだけで私は、幸せだったのだから。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加