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いつも好くしてくれる常連。最初は彼の事をそう思ってた。
自分は酒を飲めないからと、俺にばっかり飲ませるけど、売り上げの為にいつも高い酒を入れてくれた
ほかの子達が噂してるほど悪い人じゃない気がするんだけど・・
そんなある日、事件は起こった。
俺は男だから、アフターになんてのこのこ付いて行って男だってバレたら、店にまで迷惑かける。せっかく雇ってくれたチャンミンにも迷惑をかけてしまう。だから、アフターの話はのらりくらりかわしてたんだ。それが得策だと思ってたから。
でも違った。
この日もいつものようにおしゃべりしながら、高い酒を飲んでた。
「なぁ、ジジ。いつになったらアフターOKなの?」
「ふふ♡そんなに焦らなくてもいいじゃない。ゆっくり楽しもう?」
何かが彼の気に障ったらしい。
突然彼は俺の持ってるグラスを取り上げ、残っていた酒を一気に飲み干した
「え・・・?チョンさん・・飲めないんじゃ・・?」
「飲めないんじゃない。飲まないだけだ。飲むと制御が利かなくなるから・・」
「・・・・・・・・・・」
「行くぞ?」
「え?ちょっ・・・!!」
急に腕を掴まれ連れていかれそうになった。俺は渾身の力を込めて拒んだ。
すると彼は包丁を俺に突き付けた
「キャー!!」
周りの嬢達が気づいて悲鳴をあげる
「ジジ!!」
騒ぎを聞きつけてやってきたチャンミン。
「お。落ち着いて、ね?」
「こんな時に落ち着けるか?一体いつになったらアフター付き合ってくれるんだよ?」
「わかった、わかった。今日行くから、ね?そんな危ないものしまってくれないと、みんながびっくりするよ、ね?早くしまって?」
「・・・・・・」
男は素直に包丁をしまって、ソファーに項垂れた
「ちょっと待ってて、支度してくるから・・」
「・・・・・・・・・」
チャンミンに了承を得ると、着替えて男と二人闇に消えていった
「・・・・ねぇ、どこ行くの?」
「俺んち」
「・・・・・・・・・・・」
さっきの騒動が嘘だったかのように大人しい。
逃げようと思えは逃げられたのかもしれない
でも、そうしなかったのは彼の背中が泣いているように見えたから
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