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〜出会い〜
「君、クビね。明日から来なくていいから!」
「え?今、なんて?」
「聞こえなかったのかね?君はクビだ、クビ!」
「え……」
マジか……
就職難で、やっと安定した職に付けたのに、半年でこのザマだ
最悪だ……
明日からどうやって生きてこう……
その月暮らしをしていた俺は、貯金なんてものはなく……
だからと言って、身内や助けてくれるような友人なんてものもいなかった
じきにアパートも追い出されるだろう。
出来ることと言えば、有り金で酒を飲んでウサを晴らす事だけだった。
「くっそ!あの禿げオヤジ!よくも俺をクビにしやがったな!」
夜な夜な街に繰り出しては、酒を飲み暴れた
「ちくしょう……」
「随分荒れてるね……」
「お前誰だ?」
「俺?チャンミン。良かったら一緒に飲まない?良かったら愚痴でも聞くよ?俺のおごりで。」
「言ったな?男に二言はないな?」
「はい」
こうして、よくわかんないやたら身長の高い男と飲むことになった
「最悪だな、その課長・・」
「だろ??即、クビって・・イマドキ無くね?」
「ないな~」
「マジで、顔思い出しただけで腸煮えくり返る」
「そう言えば、名前聞いてなかったね」
「あ、俺?ジェジュン」
「ジェジュンか。俺は・・」
「チャンミンだろ?」
「・・はい」
「さっき聞いた」
「覚えは良いみたいだね」
「まあね。人の顔とか名前。覚えるの得意なんだ。1回聞いたりあったりすれば忘れない」
「へぇ・・すごい特技だね」
「まあね」
「その特技生かしてみない?」
「は?そんなのが仕事に生かせんの?」
「ええ。大いに」
「へぇ・・」
「あ、これ俺の名刺。気が向いたら来て?仕事探してるんでしょ?」
「ああ」
「じゃ、お先。勘定は払っておきますんで」
「おう、サンキュー!」
「じゃ、また」
渡された名刺に視線を落とすー
・・クラブAGEAHA?シム チャンミン
何の仕事だろう?
俺は名刺を胸ポケットに入れると、残ったアルコールを一気に飲み干し席を立った
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