0人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は高校3年生の夏休み、勇気を振り絞り3年間片思いをしていた子を夏祭りに誘った。
待ち合わせ時間の10分前に夏祭り会場に行くと、既に彼女は着いていたようで、僕が来るのを待っていた。
『ごめん!待った?』
『いいえ、大丈夫よ。まだ待ち合わせ時間の10分前だもの。私も貴方もせっかちね。』
他愛もない話をしながら屋台を回る。
屋台を回り僕はチョコバナナを、彼女はりんご飴を買った。
そのりんご飴で唇が赤く染まり、まるで別人のように見え、少しドキリとした。
そんな事をしているといつの間にか花火が始まっていた。
『花火、始まってるわね。』
『そうだね。あのさ、君に言いたい事があるんだ。』
今だ。そう思い僕は彼女に言った。
『何かしら?』
『僕、この3年間、ずっと君の事が好きでした!僕と付き合ってください!』
彼女は数秒考えた後、口を開いた。
『私は…』
その言葉は、打ち上がった花火によってかき消された。
最初のコメントを投稿しよう!