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殺したくない。
思わずサラを二度見する。顔が青白い。人形の鉄面皮が崩れ、浮かぶのは苦悶の顔。
考えるよりも先に、俺はサラの目を覚まさせる。暗殺者の勘か、即座に彼女は目を開き、背中を起こした。
「ひどい目覚めだったみたいだけど」
俺が言うと、サラは頭を押さえながら深いため息をつく。
「昔の夢さ。最初に、人を殺した時の日の、ね」
青色の瞳から光が一瞬消えたが、すぐに平常心を取り戻したのか、再びサラは無表情へ戻る。
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