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北野聡子は15年前に書いたポエムを偶然発見し、ひぃっと声を上げた。
夢うちの青き湖面をうちゐたり午前五時ほそき蝉声に醒む
甘たれで我儘なあの娘に会ふ前にアイライン青く引き直しゐつ
濃みどりの繁りゆたけき枳殻に青虫はゐず文月尽日
うぇ、恥っず。あの娘って誰やねん。
忘れた頃に大昔のポエムを読まされるほど恥ずかしいことはない。
当時書いていたブログにアップしたやつだ。
このブログ、退会するの、すっかり忘れてた……。
聡子の目は左端の最新コメント欄の「金澤有人」の四文字に釘付けになった。
金澤さんから投稿きてたの? 気づかなかった!
この日でブログの更新が終わっているから、金澤有人からのコメントに気づかないまま、15年放置していたことになる。
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