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金澤有人は、当時聡子が所属していた短歌結社「葱と金槌」の有力歌人であった。
当時で、聡子より2つ上の32歳。男前で、短歌が巧く、話術も長けていたから非常にモテた。同じ「葱と金槌」の女性と結婚したが1年で別れ、その後は同人の女性をとっかえひっかえしているとの噂があった。
このブログは、筆名「渚月子」で書いていた。
ブログの存在を、「葱と金槌」の誰にも話したことがない。
ブログの更新をやめてすぐに「葱と金槌」も退会してしまった。
金澤さん、なぜわかったんだろう。
もしかして金澤さん、私に気があって、連絡先を探してこのブログを突きとめた、ということなのかしら……?
金澤さん、15年も放っておいて、ごめんなさいね。
聡子は両頬をにんまりさせながら、金澤有人のコメントを開けた。
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