私には可愛げがない

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一連の出来事を思い返しクシャクシャと路地裏で一人頭を掻き毟る。 なんっってこと言ってんのーーーーーー! 綺麗って、言われたら、素直に、 「ありがとう」って言うんでしょう!! 行きつけのお店で女に逃げられるとか恥かかせてんじゃないわよ!! そして身体目当てって決めつけてんのよ!! 自意識過剰にも程があるわ。 ほんと穴があったら入りたいし、今すぐこのアスファルトに埋まりたい。 あんなにかっこいいのよ!あんなに素敵なのよ!! 女に困ってるわけがないじゃない!!!! 「はぁ……」 なんで私ってこうなんだろう。 彼、絶対引いてる。 話したいって言われただけなのに「性が乱れた男性」に仕立て上げて、 頭の中を性的なことに支配された痴女だと思われてるに決まってる。 第一、失礼すぎる。 許してもらえなくても月曜日にちゃんと謝らなきゃ……。 帰ろう。 いつまでも路地裏にいるわけにはいかないので立ち上がった。 歩みを進めるが後悔は拭いきれず足取りが重い。 「佐伯さん」 後ろから私を呼ぶ声がした。 この低さの中にも色気のある声は。
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