私には可愛げがない

4/14
前へ
/236ページ
次へ
そしてある日、彼が廊下でゴミを拾う姿を見た。 誰しもそこにゴミがあることには気付いていても捨てようとする者はいない。 それをわざわざ処理する彼に感心し、眺めていた。 長身で手足が長い彼がゴミを拾うだけのその動作は不思議なほど優雅だった。 彼は私の視線に気づくとこちらへ上品に微笑み廊下を歩いて行った。 その瞬間に私は完全に恋に落ちた。 容姿だけじゃないと言った割には大したエピソードはないが 恋の始まりとはそんなものだ。
/236ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加