私には可愛げがない

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バーらしい間接照明の落ち着いた空間が彼の雰囲気によく合っている。 カウンターに彼と横並びに座り、カクテルを注文した。 同じ歳だが社歴は後輩だからか彼は私に対して敬語で話す。 お酒の飲み方は知っているので泥酔したりすることはないが彼が隣にいるという事実だけで酔ってしまいそうだった。 彼の話に相槌を打っていたが頭の中では 「彼の行きつけのお店に連れてきてくれた!」 「今日は二人きりでお酒を飲んだ記念日だ、後で手帳に書いとかなきゃ!」 という浮かれた気持ちでいっぱいだった。 そんな状態なので当然こちらからの話題提供がなく、会話が途切れた。
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