私には可愛げがない

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それまで彼とどうこうなりたいという欲はあまり無かった。 つい相手を突き放すような発言をしてしまうために距離の縮め方も分からないからだ。 嫌な思いをさせたり嫌われるくらいなら関わらない方がよっぽどいいと秘めやかに彼を慕っていた。 しかしよく考えれば二人きりでお酒を飲む機会なんて次いつあるか。 いや、次なんてものがあるのか分からない。 そう思うと今日次に繋がるような爪痕を残さなければいけないような気になった。 少し欲が出たのだ。 次に繋げるにはどうすればいい。 共通の趣味だろうか。 ありきたりなことしか思いつかない。 そういえば誰かが言っていた。 「恋愛と仕事のスタイルってちょっと共通するところがある」と。 普段営業する時どうしていたか。 新規の取引先を訪問する時には…… まず会社ホームページの会社概要を見る!!! そうだ、私は彼のことを知らない。 彼のことを知りたい。 そう思い横にいる彼を見る。 彼が先にこちらを見ていたらしく彼と私の視線が絡まった。
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