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夏希は朝ご飯を食べ終えて食器を流しに片付けると、にこにこした伯母に話しかけられた。 「夏希ちゃんは本当、良い子だこと。うちも女の子だったらもうちょっと可愛気があったかしら」 食器を洗いながら伯母さんはそう言った。 家で当たり前にしてた言葉遣い、行動が、この家に来てからやたらと褒められる。擽ったい気持ちだった。 「ご馳走様でした、とっても美味しかったです。…これから冬司さんが川に連れて行ってくれるので、呼びに行ってきますね」 二階への階段へ向かう夏希の後ろ姿を見送りながら、伯母は感慨深そうな表情をした。 「昨日から夏希ちゃん連れて帰ってくれたり、何も言ってないのに遊びに連れ出してくれるなんて…東京で人間嫌いになったあの子には珍しいこと…」 伯母の呟きは夏希の背には届かなかった。
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