オリーブの花より祝福を

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 急なことだったので普通にチケットは取れなかった。  不法侵入しようかとも思っていたが、丁度良く近くで列車のチケットを盗むことが出来たので、それを見せて車内に入る。  今頃何処かで慌てているはずの盗んだ人には悪いが、この列車に乗りこんでいた所で、列車ごと爆発するか殺人事件が起きるか、どうせ碌なことにはならなかっただろう。  列車に乗り込んだロイドは、とりあえず自分にあてがわれた部屋には入らず、貨物室の中に身をひそめた。いくらチケットがあるといっても、下手に相部屋の人に姿を見られて怪しまれても困る。  それほど時を待たずして、鈍い音を出して列車が動き始めた。案内のアナウンスと共に、鼓動音のような振動が車内に響き始める。  人通りが少なくなった頃を見計らって、ロイドは荷物を置くこともなく例の車両の前まで移動した。  警護の人は特にいないようだった。最初物音を立てずにそろりと横開き式のドアを開けようとしたロイドは、思い直して普通にそのドアを開く。  そして、その向こうにいた人物を見て目を見開いた。
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